前回(第3回)の内容
今回(第4回)の内容
前回、全体を体系的に学習する市販テキストはないと書きましたが、効率よく学習するために、代替的に使用できる教材や有料講座はあります。 今回は、まずそちらを紹介していきます。
知財検定2級のテキスト・問題集
知財検定1級を学習するうえで2級は前提知識ですので、ある意味当然です。 ですが、学習・合格して時間がたってから1級対策する場合は、復習しておいた方がよいでしょう。
甘く見てはいけないのは、試験問題の正しい/間違いの枝として、不意打ちのように意匠や商標の裁判籍(訴訟になった場合の管轄裁判所)などが出題されたりします。 この辺りがノーマークだと、問題を見たときに焦ることがあります。あまり時間をかける必要はないので、ある程度特許法との違いは、2級レベルで押さえておくべきかなと思います。
- 公式テキスト
https://www.kentei-info-ip-edu.org/gakushujoho.html
- 自分が使用したテキスト(アップロード社の完全マスター3冊)
※購入済みの人は、手元にあるものでよいと思います。
IPePlat
工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供する、知的財産関連の無料学習教材です。 実は、通常の市販の試験対策テキストでカバーできてない内容の多くがコンテンツとして含まれており、最有力候補といえるかもしれません。 (知財戦略、庁手続、制度説明、審査基準、海外企業との契約時の注意点等、諸々)
無料でアカウント登録すると、受講履歴管理もできますので、まずはこれを見てみるのが良いかなと思います。 試験対策で正答を導けるレベルに達しないとしても、広く全体の知識を網羅的にカバーすることができます。 何より無料で、初心者向けに記載されており、敷居が低いのが最大のメリットです。 とりあえず一度、コンテンツのタイトルをざっと見渡してみてください。
知的財産マニュアル(東京都知的財産総合センター)
こちらも、中小企業経営者を対象に、知的財産全体に関わる重要事項をきれいな資料で分かりやすい図を用いて説明されています。 以下を見ると、出題範囲をかなり扱っていることがわかると思います。基礎を理解するために無料で活用できます。 ここから、試験に関係するキーワードをピックアップすることもできると思います。
中小企業経営者のための知的財産戦略マニュアル
中小企業経営者のためのノウハウの戦略的管理マニュアル
中小企業経営者のための海外知的財産マニュアル
中小企業経営者のための特許マニュアル
中小企業経営者のための技術流出防止マニュアル
中小企業経営者のための技術契約マニュアル
中小企業経営者のための職務発明制度改正対応の手引
中小企業のための実用新案制度活用のてびき
(中小企業経営者のための意匠マニュアル)
(中小企業経営者のための商標マニュアル)
(中小企業経営者のための著作権マニュアル)
弁理士試験のテキスト
第3回で記載しましたが、ある程度弁理士試験の内容とかぶっている領域があります。
当然弁理士の方が難易度が高いため、弁理士を同時に受験しようとしている場合以外は、条文レベルで覚える必要性はないですが、 上記について体系立てて解説されているテキストは効率よく学習することができますし、出題頻度・割合が高い領域ですので、時間が取れる人はお勧めします。
ELEMENTS(早稲田経営出版)1、3 bookstore.tac-school.co.jp
ケータイ弁理士(三省堂)Ⅰ、Ⅲ www.books.or.jp www.books.or.jp
STUDYing 弁理士講座 自分は弁理士も併願で進めていました。大手予備校よりも安価で(それでもそこそこしますが)、上記かぶっている領域はかなり深く勉強できます。 完全Webで自分のスケジュールで勉強でき、小刻みな受講、定期的な問題演習、掲示板での勉強仲間とのコミュニケーションで継続的にモチベーションを維持可能。 これを1年受講して、知財検定1級合格(学科→実技)→弁理士短答式筆記試験合格と連続で3回の試験に合格できました。 studying.jp
アップロード社の1級対策講座+過去問題解説
http://www.upload-j.com/view/page/page4www.upload-j.com www.upload-j.com
おそらく唯一の1級対策講座だと思います。 自分も受講したので、内容は知っており、試験対策講座なので受講する意義は高いと思います。 しかし、11月試験に対して配信開始が8月下旬~であり、この時期から対策して合格する試験ではありません。 また、過去の出題傾向を意識して重点的にまとまっていますが、出題範囲が変えられると対応できません。 ですので、
①過去分のテキストをメルカリ等で中古で入手して傾向把握として使用する
②翌年受験を前提に、1年前に受講する
③本試験直前期に総まとめ的に学習・試験対策する場合に活用する
のいずれかの目的で使うのが、上手な使い方かなと思います。自分の場合は、合格した2年目の受験直前期の③で使いました。
合格マニュアル(知財経営研究者)
http://www.chizaikeiei.com/manual_tok.htmlwww.chizaikeiei.com ※2024年2月現在、準備中で見れなくなりました… chizaikeiei.cart.fc2.com
1級受験者ではほぼ存在を知らない人はいないが、なかなか入手することができず謎に感じると思う、伝説の教材です。 2019年版が最新で絶版で、2021/11月に休刊のお知らせが出ており、おそらく再販・更新されることがなさそうな雰囲気です。 メルカリ等で中古で入手するしかなく、しかもレア商品のため1万円以上し、流通しているものは2016年版くらいしか見たことがないです。 自分はメルカリで2016年版を入手しました。 内容は各分野別の大量の暗記用問題集といったところで、最初に理解・勉強するために読むものではなく終盤期の対策本です。 こちらはあったらよい内容ですが、内容も古いため、あてにしすぎない方がよいかなと思います。
最新過去問題集(コンテンツ・シティ出版)
こちらは、自分が受験初期から使用していたものです。 解説ありの過去問としてはアップロード社かこちらか2択、という感じだと思いますが、両方使用した感想としては、解説はアップロード社の方が自分には合っていました。
知的財産技能士会 会員特典の全過去問
https://www.ip-ginoushikai.org/service
知財検定3級か2級に合格すると、年会費1万円の有料会員となり、すべての1級の過去問題と正答が入手できます。 残念ながら解説はないため、解説付きで販売されている最新過去問集以外は、答えから逆算して理由を自分で考える必要があります。 ですが、出題傾向の把握、正答率、問題を解くスピード感の訓練など、自分のレベルを把握できるため入会してフル活用しました。
以上、総合対策のテキスト・問題集についてでした。 次回から、分野別の専門資料の紹介をします。