マテーシスの勉強ブログ

学ぶことに興味がある方へ

知的財産管理技能検定1級(特許専門業務)合格への道:第6回(実務よりの分野)

前回(第5回)の内容

mathesis0923.hatenablog.com

今回(第6回)の内容

今回は、実務よりの出題分野を扱っていきます。

  • 庁手続関係、利用可能な制度

  • 権利化前(特許調査、出願、中間処理、拒絶/特許査定)

  • 権利化後(登録、維持管理、ライセンス、権利行使)

  • 警告、訴訟対応(権利行使する側/される側)

  • 海外展開

参考資料

IPePlat

IP ePlat

知財戦略の際にも紹介した無料学習教材です。ここでも効果を発揮します。 というか、実務担当者向けの教材のため、ほとんどの領域が該当しそうです。

  • 「ビジネス」の契約関係のコンテンツ

  • 「特許(手続等)」

  • 「特許(法規・基準等)」の審査基準関係のコンテンツ

  • 「特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)など」

  • 「その他」

  • 「海外制度・条約」

特許・実用新案審査基準(特許庁

特許・実用新案審査基準 | 経済産業省 特許庁

特許出願の権利化前の中間処理である拒絶理由通知受領後の補正、分割出願、審判対応等を行うには、何はともあれ審査基準の理解は避けて通れません。 審査基準は本家本元の特許庁が出しているものが原典ですから、まずはこれです。

これだけは知っておきたい特許審査の実務(中央経済社

これだけは知っておきたい特許審査の実務 / 伊藤 健太郎【監修】/千本 潤介【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

初心者向けの中間処理です。ただ、侮れないのは審査官視点の考え方、審査官が陥りやすい判断の罠(反論ポイント)、どのように対応したら特許されやすいのかといったことが極めて分かりやすく実例付きで解説されています。拒絶理由通知の表向きは冷たく見える拒絶理由の説明の裏に、審査官の隠されたメッセージが含まれていることが実際にはあります(自分の経験上も多々あり)。

特許出願の中間手続基本書(発明推進協会)

特許出願の中間手続基本書 / 大貫 進介【著】 - 紀伊國屋書店ウェブストア|オンライン書店|本、雑誌の通販、電子書籍ストア

こちらは、より詳細に解説を読みたい人向けの本だと思います。試験対策的には、最終的にはここに記載されているレベルで問われることが多いため、何とか制覇したいところです。

技術法務のススメ 事業戦略から考える知財・契約プラクティス(日本加除出版)

第2版 技術法務のススメ 事業戦略から考える知財・契約プラクティス | 日本加除出版

前回記載した「知財戦略のススメ」と同じ鮫島先生の著書で、主に契約関係にまつわる書籍です。 ライセンスから共同開発、秘密保持契約などさまざまな契約形態に対応し、設問の事例問題で出やすい契約書の記載事項のプラクティスがあるため、実務的な必読書だと思います。

ライセンス契約 ビジネス法務体系Ⅰ(日本評論社

ライセンス契約|日本評論社

こちらは、どちらかというと契約の理論的な体系的解説がされている専門書で、内容もボリュームがあり難易度も高めです。 ところが、1級試験では避けて通れない「独占的通常実施権」「独占禁止法・パテントプールとの関係」「権利範囲と訴訟」「権利消尽、均等侵害」「国際裁判管轄と準拠法」などほかの出題分野と密接にかかわる内容まで掘り下げられていますので、この一冊で攻略難問領域を広範にカバーしているのではないかと思います。

民法で見る知的財産法(日本評論社

民法でみる知的財産法[第2版]|日本評論社

特許法は法体系として、一般法である「民法」に対する特別法にあたります。しかし、以外にも民法特許法の規定ぶりの違いや、両者が交錯する領域の考え方について体系的に勉強できるテキストがなく、「民法民法」「特許法特許法」としてあたかも別物の様に扱われている場合がほとんどです。その意味ではかなり珍しい書籍だと思います。しかし、特許に関わる権利行使・訴訟を扱う場合、特許法の規定が及ぶ「審決等取消訴訟、差止請求訴訟」と、一般法である民法民事訴訟法・民事執行法の性質が強い「特許侵害の損害賠償請求、不当利得返還請求訴訟」「特許権の質権や物上代位権の強制執行」など、両方の考え方が入り混じってきますので、実は目からうろこの内容が多い良書だと思います。1級試験でもこれらが混じりあうきわどい枝が出る可能性がありますので(過失推定や損害額推定の規定が及ぶか及ばないかなど)、さらにもう1点を目指すうえで、押さえておくと強いと思います。

知的財産法判例教室(法学書院

知的財産法 判例教室 第3版 | 正林国際特許商標事務所

訴訟と判例問題を扱う出題では、特許法周りの判例対策は欠かせません。判例の専門書は、弁理士などの専門家向けの書籍で難解なものが多いので対策が難しいですが、本書は最初から「試験対策でエッセンスだけを学ぶ」ことに焦点を絞っており、重要判例を効率的に勉強できる書籍だと思います。過去出題された判例もほとんど記載されていたと記憶しています。

知的財産マニュアル(東京都知的財産総合センター)

知的財産マニュアル|東京都知的財産総合センター

こちらは第4回の共通テキストで紹介したものですが、なかなか学習が難しい「海外知的財産マニュアル」が無料で含まれてるのが良いところで、中小企業向けに専門人員が確保できないことを想定して、わかりやすく記載されています。出願形態のバリエーションから、海外企業との契約時の注意点など幅広くまとまっており、この内容からの出題も目立ちます。

特許調査入門 サーチャーが教えるJ-Plat Pat活用ガイド(発明推進協会)

特許調査入門 サーチャーが教えるJ−PlatPatガイド 第3版の通販/酒井 美里 - 紙の本:honto本の通販ストア

特許情報調査と検索テクニック入門(発明推進協会)

特許情報調査と検索テクニック入門 研究開発&特許出願活動に役立つ 改訂版の通販/野崎 篤志 - 紙の本:honto本の通販ストア

上記2つは特許検索に関連するもので、その道では有名なお二方が著者です。おそらく特許検索業務を請け負うプロのサーチャーも、こちらを入門として勉強するのではないでしょうか。 日本の無料公式検索ツールJ-Plat Patをメインにしているのに対して、海外の特許検索は簡単に触れられている程度です。 どちらかわかりやすい方を1冊購入すればよいかなと思います。 試験では、簡単なAND/OR指定や特許分類と用語検索をどのように組み合わせるべきか、といった内容や、特許分類の種類(IPC、FI、Fターム、CPC等)と違いについて問われることが多いです。 ただし、国際特許出願のPatentScopeや、欧州のEspacenetの検索結果の見方などが問われる過去問も存在するため、実際に使用して内容を理解しておく必要はあると思います。

以上、今回は実務よりの分野について記載しました。 次回は国内法規について記載します。